
AutodeskのSenior Product Marketing ManagerであるRob Hoffmann氏とインダストリアルマネージャー、Inferno, Smoke、TV業界担当のBruno Sargeant氏にお話を伺った。


-毎年製品がバージョンアップされますが、社内意見が主なのでしょうか?ユーザからの意見などは参考にされますか?またどの程度参考にしているのでしょうか?
新しいリリース前にアメリカ、ヨーロッパ、アジア、日本の顧客からの要望を吸い上げ要望リストを作成しています。その要望リストは非常に巨大になるためそこから次回のリリースに盛り込む内容を絞り込みます。
絞り込んだリストを顧客に再度公開し承認を得ています。
開発途中にも確認をしてもらい、目的にあっているか?使えるかどうか?を確認してもらっています。
また、社内のエンジニアリングチームに対しても顧客からは出てこなかったアイディアを出すように奨励しています。
要望を提出してくれた顧客の皆さんにはα、βテストにも参加してもらい要望内容の確認はもちろんソフトウェアの安定性についても確認してもらっています。
各業界の専門家の意見を聞き、将来のトレンドを見極めながら検討しています。
また、年数回のCTOサミットやアドバイザリーカウンセルを開き、世界の主要な制作会社(ゲーム業界や映画業界)を集め、現在直面している課題だけでなく、将来直面するであろう課題についても話し合いを行っています。
時には開発に5~7年近くかかる場合があり、常にトレンドを見ている必要があります。。GPU、CPU、ネットワークのパフォーマンスについての先を見て検討しています。
Intel、AMD、NVIDIA、ATI、Microsoft、Appleというような会社と協力し、彼らがどのような方向性を持っているか?どのような技術に取り組んでいるかも考慮しながら彼らが提供するものに足並みをそろえながら開発を行っています。
技術革新を行う場合、その技術を持つ会社を買収することもあります。買収を行うことで技術だけでなく、優秀な人材の確保にもつながるためです。すぐれた技術者の確保は非常に難しいためです。
企業買収、投資はゲーム企業、テレビ、映画会社に向けて行われていますが、これらの企業はどんどん集約されているため、どこの分野に投資を行ったとしても結局をひとつになっているということです。
-昨年のバージョンアップ時に2008と年数をつけた製品名にMax,Maya共に生まれ変わりましたが、今後、この2製品のすみわけはどうなりますか?またこの2つの製品が統合されることはありますか?
それぞれ別製品として今後も存在していきます。
どちらか一方を終了することや2つを一緒にする計画もありません。
双方のソフトには多くのユーザがいますのでどちらのお客様に対しても失礼なことをするつもりはありません。
両方ともAutodeskにとって利益性の高い製品ですので、平等にセールスマーケティングや開発にお金がかけられています。
すみわけについてですが、どちらの製品も3Dモデリング、アニメーション、レンダリングを行うソフトですが、ワークフローは異なります。それぞれのソフトで強みと弱みを持っています。
私たちはアーティストに対して選択肢を与えるということです。プロダクションの要求ごとにMaya、Maxを選択もしくは両方を使用し、さらには他のAutodesk製品を活用することがベストであると思います。
映画業界ではMayaが多く使われています。それはMayaがオープンアーキテクチャーであり拡張性が高いためです。対して、Maxはデザインやヴィジュアリゼーションの業界で活用されています。AutoCADなどとの整合性がいいからではないでしょうか。しかしながらそれぞれの業界でMaya、Max共に利用されているのではないのでしょうか。
-私どもの会社でもMaya、Max、Flame、Flintなどが混在して利用されています。
通常の使い方だと思います。なにより私たちが行うべきはベストの結果を短時間で行うためのツールを選択すればよいからです。
-Windows Vistaに2008より対応しましたが、昨今の制作状況としてはハイビジョン制作が多くメモリには厳しい状態です。メモリ制限や管理に関してはどのようにお考えですか?
現在の多くのプロダクションはまだWindowsXPを利用されているようです。私たちの製品内ではメモリ管理をできるだけ効率よくやるようにしています。
メモリ領域のこともあり多くの顧客が32ビットから64ビットに移行し始めているのです。
-32ビットから64ビットに移行する場合各種プラグインが64ビットに対応していないため移行ができずにいたりしますがそれについてはどうですか?
それは大きな障害ではありません。現在の多くのマシンは32ビット、64ビットのどちらもロードができますし、その両方に1つのライセンスでインストールすることが可能です。そのため、もし64ビットで問題が起きた場合だけ32ビットに戻すというやり方があります。
-アメリカにはハリウッドがありますが、日本でもテレビも映画もCGが欠かせない存在になっています。日本の市場をどのように見ていますか?
日本市場はAutodesk製品にとっては最大市場の1つです。アメリカにももちろん多くのユーザがいますが、規模感で見れば日本のほうが多いと思います。
コンテンツですが、ゲーム業界で制作されたものは世界中の市場に向けて制作されています。例えばグランツーリスモ((C)SCE)は本当にすばらしく美しい映像だと思います。
一方でテレビ放送コンテンツはローカル向けのものですね。しかし、アメリカやヨーロッパで制作されているものと同様かそれよりいいものも制作されていると思います。
デモリールにはベストなコンテンツを載せるのですがそこにも日本制作のものが多くあります。
日本のテレビでもCGは多く使われていますよね?
-はい。ドラマはもちろん、バラエティ番組などにも多く使われています。最近ではバーチャルスタジオが多く取り入れられています。
私たちはバーチャルスタジオの技術を作るのではなく、その中で使うコンポーネントを提供しています。MotionBuilderがすでに多くのバーチャルスタジオで使用されています。
例えば天気用や、
政治関係の番組では多く使用されています。非常に短時間で制作する必要がある場合にとても有効です。
MotionBuilderはリアルタイムのキャラクターを制作できるので短時間で制作するときにはベストソリューションだと思います。
-私たちはDigiCon6というアジア10地域にまたがる映像コンテストを行っています。中国やインドなどは非常にエネルギッシュにCGを制作していますが今後これらの市場に対してはどのような展開をされますか?
Autodeskは常に新興市場エリアに注目しています。すでに中国やインドでは高評価をいただいています。
中国ではChina Central TelevisionでもAutodesk製品は利用されています。またAnimation BasisではMayaが採用されていますし、インドも同様です。
また次の市場はたぶんロシアになるでしょう。
-クリエイターは若い学生が多くいることもあり、Autodeskではどのような支援、事業をされていますか?
教育には投資を行っています。本社はもちろん、各地域ごとに担当者がいて学校向けのカリキュラムを組んだり、チュートリアルを行ったりしています。もちろん学生向けの特別価格も用意しています。
また、トレーナーのトレーニングを行っています。ソフトを学ぶ学生向けの教材や、オンライントレーニングも用意しています。多くの若い学生はお互いに学ぶこともありオンラインにコミュニティを用意しています。
-最後になりますが、若いクリエイターに向けてのメッセージをお願いします。
新しい人たちがこのCG業界に入ってくることは非常によいことだと思っています。前の世代が作っていたアートと違う物を作れることができるようになりました。
新しいものを作る、新しい発想で作るということはとてもエキサイティングだと思います。
誰でも3Dに興味があればツールを学ぶだけで世界のどこでもどんな仕事でもできるようになりました。
私はヨーロッパとかアメリカ内のいろいろな場所にに行った際に制作会社の人からいいアーティストがいないか?と聞かれることがあります。私が知っているアーティストがたとえ地球の反対側にいても彼らはぜんぜん問題ないといっています。
世界のどこにいてもどんな仕事でも行える時代になったということです。
-ありがとうございました。
以上、Autodeskの個別インタビューでした!
<文・写真 横木慶輔(Keisuke YOKOGI)>