
今年のSIGGRAPHでは、昨年のElectric TheaterとAnimation Theaterのような区別がなくなり、Computer Animation Festivalとして開催されるようになった。ただ、受賞については、総合的な賞に加え、審査員賞、学生賞と区別が行われ、さらに、アワード自体は金曜日の最終日に行われ、それまでの間に見に来た人からの投票により最終決定がされるというルールに変更となった。
上映の仕組み自体も一度見に行っただけではすべてが網羅できない仕組みなっており、ノミネート作品とそれ以外が混ざった状態で上映されている。80作品中大体31~32作品が上映され、回により同じものが入っていることはもちろんあるのですべてを網羅するのは非常に大変かと思う。
さて会場となったのはコンベンションセンター脇のNOKIA Theatreである。さすがに警備が厳しく、カメラ、ノートPCの持込については申告し確認を受けてから入場となっていた。


Computer Animation Festival(CAF)で上映された作品を紹介する。筆者が参加した会では32作品が上映された。今回ここではうち26作品についてご紹介する。どれも非常にレベルの高いものでありまた娯楽性に飛んだものが多く会場は常に笑いに包まれるという状態だった。逆に言えば、学術的なものやCGクオリティを追求したものについて強調されやすく目の肥えているクリエイターたちにの目にはどのように映ったのだろうか?
「Carbon Footprint」
Stefano Salvini
Jellyfish Pictures for Discovery Network EMEA
United Kingdom
ポイ捨てにより空き缶が朽ち果てていく様を表している。
缶自体の腐食の進み方はもちろん長い年月を経ている周囲の環境の変化についても注目されたし。
「Tarboy」
James Lee & Hania
Griffith Film School, OLD College of Art
Austraria
アニメーションがとても気持ちい作品。イラストでの表現はお気に入りのひとつ。
世の中の悪い部分(人間)にスポットを当てた作品。
「Do Penguins Fly?」
Alban Lelievre
Planktoon
France
ペンギンが飛んでいるところを見たらあなたはどうする?
ペンギンのアニメーションが非常に愛らしくかつ、面白い。
「My Little Angel」
Bryan Larson
Flurry Animation Studios
USA
最近の子供は恐ろしいと言いなかれ。子供の手にかかれば神様もたじたじ。
アニメーションのタイミングのとり方、来たいを裏切らないストーリがいい作品。
「Our Wonderful Nature」
Tomer Eshed
Hochschule fur Film und Fernsehen,"Konrad Wolf" Potsdam-Babelsberg
Germany
ねずみ自体の質感が高いかどうかはおいといてとにかく2匹の立ち回りを楽しむ作品。
アイディア自体は古いかもしれないが最後の落ちまで気が抜けない。
「Shatter」
Kouhei Nakama
Nabla Inc.
Japan
DigiCon6+3奨励賞受賞作品。XSIを磨き上げた映像は一品。
「Blind Spot」
Johanna Bessiere, Olivier Clert, CecileDubois Herry, Yvon Jardel,
Nicolas Chauvelot,
Simon Rouby
Gobelins I'ecole de I'image
France
あるスーパーでおきた強盗事件の話。サムネイルにあるおばあちゃんがなぜ捕まっているのか?
ぜひ見てもらいたい作品です。
「Barenbrant」
Derek Roczen
Filmakademie
Baden-Wuerttemberg
Germany
モノクロ+手書き風がいい味を出しています。ストーリーは非常にシュールな終わり方を
するのですが、季節に合わせた昆虫類の動き&MAがいい作品。
「The Moment」
Verena Fels, Csaba Letay
Filmakademie
Baden-Wuerttemberg
Germany
自動車事故が起きたその刹那に見たものは?
ただのスーパースロー作品ではなく終わるところは必見。
「Bridgestone: Scream」
Chandra Irving, Stephanie Gilgar
Method Studios
USA
みんなで叫べば怖いくない!?車に惹かれそうな動物たちの絶叫が森にこだまする。
動物たちの質感や毛並みなどよくできている作品。
「Renkan」
Nobuo Takahashi
Nagoya City University
Japan
ものがつながり、増え、変化していくさまを表現している。
「Towers in the Tempest」
Gregory W. Shirah
NASA
USA
台風内部でのエネルギー遷移、圧力分布などを科学的にかつわかりやすく表現した作品。
「Nature "Tzu-jan"」
Ari Rubenstein
Curv Studios
USA
水墨画を3DCGで製作し、さらにその工程まで見せる作品。
「Mauvais Role」
Alan Barbier, Camille Campion, Dorian Fevrier, Federic Fourier,
Frederic Lafay, Min Ma, Jean-Fancois Mace, Emanuel Reperant,
Jeremie Rousseau, Olivier Sicot
Ecole Superieure de Realisation
Audiovisuelle, Bretagne
France
各種方面からクレームが来ないか心配な作品(著作権で)。
ただ、ゲームのラスボスも意外にお仕事大変なんだね、という作品なのでとても楽しめる分もったいない。
「Anima Facta Est」
Lucie Arnissolle, Mael Gourmelen, Leah Ordonia, Celia Riviere,
Stephen Vuillemin
Gobelins,I'ecole de I'image
France
目つきの悪いウサギがメインのアニメーション。
全体の流れはいいのだがストーリーがちょっとわかりにくい。
「Fight for Life」
Philip Dobree
Jellyfish Pictures
United Kingdom
胎児、母体共にフルCGで制作し、命が生まれるまでの様々な動きをリアルに描写している作品。
「Oktapodi」
Julien Bocabeille, Francois-Xavier Chanioux, Olivier Delabarre,
Emud Mokhberi, Thierry Marchand, Quentin Marmier
Gobelins, I'ecole de I'image
France
いわゆるどたばたギャグアニメ。オスたこが恋人のメスたこを救うためにがんばります!
地中海のにおいがする風景もストーリーに彩を添えている。
「My Happy End」
Milen Vitanov
Hochshcule fur Film und Fernsehen,"Konrad Wolf"
Potsdam-Babelsberg
Germany
犬の一番の仲良しはなんと自分の尻尾。2Dイラストを3Dの動きでアニメーション
しているためうまく表現しているところは要注目。
「Simulating Cloth at the Yarn Level」
Jonathan Kaldor, Doug James, Steve Marschner
Comell University
USA
毛糸のマフラー状のものだが、質感や動きが非常によいためぜひ見てほしい作品。
「893」
Eric Toubal, Yves D'Incau, Thomas Castellani, Clement Renaudin
Supinfocom Arles
France
日本家屋でヤクザが喧嘩。
そこで終わるのかと思いきや刺青の模様が水墨画のごとく動き出す作品。
「Bolides」
Francois-Xavier Bologna,Theophile Bondoux, Lyonel Charmette,
Vincent Le Ster
Supinfocom Arles
France
老人ホームでのライバルは車椅子生活同士。
二人の意地の張り合いはとどまるところを知らないがそこは仲良し最後まで一緒。
「Team Fortress 2; "Meet The Engineer"」
Created by Valve
Valve
USA
和やかに見えるその光景を一歩引いてみると・・・。
「The Plush Life」
Timothy Heath
NVIDIA Corp.
USA
NVIDIAが作成した綿毛や毛糸の質感を楽しめる作品。
「Knoll's Computer Class: the BRDF」
Matthias Parchettka
University of Applied Sciences Duesseldorf
Germany
コンピュータ学校で行っているライティングの授業の光景。
初心者がまず走るべきなかなかためになる授業をしている。
「Chump and Clump」
Michael Herm & Stephan Sacher
Hochshule fur Film und Fermsehen, "Konrad Wolf"
Potsdam-Babelsberg
Germany
とにかく面白い!キャラクターの微妙な動きがかなりつぼに入る。
キャラクターアニメーションの王道のような動きはぜひ見ておくべし。
「Rhythm & Hues 2007 Feature Film Work」
Walt Jones, Scot Vyrd
Rhythm & Hues
USA
Rhythm & Hues社の2007年度デモリール。ライらの冒険をはじめ
数多くの作品を手がけている同社だけあってデモリールだけでも十分な見ごたえがある。
「Clorox "Turtle"」
Russell Brooke
Passion Pictures Ltd.
United Kingdom
洗剤のCM。子供のおもちゃのような世界観がいい作品。
以上26作品を紹介した。上記に紹介しなかった作品も非常に優秀なものばかりであり、Best Of Show Nominessはすべて、それ以外のノミネート作品の多くを見ることができ最優秀賞に輝く作品がいったいどれになるか?が非常に楽しみになってきた。結果は14日木曜日に発表される。
<文・写真 横木慶輔(Keisuke YOKOGI)>